みんなでまちをつくる。
2017-02-28はじめまして。「鵠ノ杜舎」のブログを担当する、ナツキです。
普段はいろいろな地域に滞在したり通ったりしながら、かつての歴史、風景から感じ取れること、そこにいる人のお話などを書いたり伝えたりする仕事をしています。湘南育ちのご縁でこれから半年間ほど鵠ノ杜舎に通い、完成までの様子を観察することになりました。
最初に少しだけ、自己紹介をさせて下さい。
青春が薫る街、湘南・藤沢
3歳から鎌倉育ちで、中学・高校はずっと小田急江ノ島線に乗って湘南の学校に通っていました。だから藤沢には、たくさん思い出があります。試験勉強したファーストフードのお店も、学校をサボってブラブラした森林公園も。初デートも失恋も、放課後に親友と江ノ島行きの江ノ電に乗ったのも、藤沢でした。
湘南で暮らし始めて少し経った頃。
だから鵠ノ杜舎に行くために藤沢駅からバスに乗った時、ちょっとセンチメンタルな気分になりました。このあたりには学校が多くて、朝の通学電車でも色々な制服の学生たちと一緒になりました。辻堂海岸も近いし江ノ島もすぐそこ。甘酸っぱい思い出がある人、多いんじゃないでしょうか。
1)鵠ノ杜舎から見た湘南高校。 2)七里ヶ浜から江ノ島を望む。鵠沼海岸は江ノ島を挟んで向こう側
鵠ノ杜舎のすぐ隣にも、湘南高校があります。県下では有名な進学校ですが、藤沢・鵠沼ののんびりした空気のせいか、校舎やグラウンドから聞こえてくる部活の声も何だかのどか。鵠ノ杜舎の建つあたりはもともと畑だったそうです。
地域の人が集まるお餅つき&しめ縄づくり
この日は年の瀬も押し迫る2016年12月28日、お施主さん(鵠ノ杜舎は賃貸住宅なので、大家さんでもあります)主催のお餅つきでした。ご近所さんはもちろん誰にでもお餅を振る舞ってくれる、太っ腹なイベント。
空は真っ青な快晴。もち米を蒸す大きな釜から湯気が上がり、隣ではこれまた大きなお鍋であつあつ豚汁の仕込み中。ピンと張り詰めたように冷たい空気の中、立派な石臼がぴかぴか光っていました。
そのそばでは、お正月のしめ縄づくりが始まっていました。ご家族連れなど、大人から子どもまでワイワイにぎやかに。自分で作ったしめ縄で新年を迎える。地域の人たちみんなで集まって編む。年長者から若い世代へ編み方が伝えられる。こういう風景って、昔は当たり前のように季節の節目に折り込まれていたのでしょうね。
その横では、木工ワークショップが開かれていました。実は鵠ノ杜舎の大家さんは、大工さん。「子どもたちにものづくりの楽しさを教えたい」と、大家さん自ら企画したそう。すぐご近所にある保育園の子どもたちもやってきて、大盛況でした。
地域の物語を紡ぎ直す
今回のイベント主催者でもある鵠ノ杜舎のオーナーは、湘南エリアの賃貸を幅広く手がける「ユーミーらいふ」グループ。湘南で暮らした人なら「ユーミーらいふ」という看板を一度は見たことがあるはず!という地域密着企業です。実際に、鵠ノ杜舎を担当する同グループ工務店・marukanの西山さんと、湘南ユーミーまちづくりコンソーシアムの下山さんのお話からは、「地域」をとても大切にしていることが伝わってきます。
1)優しい笑顔の下山さん、元気いっぱい西山さん。2)marukanの職人さんたち。最年長でも43歳と若い会社。
「僕たちは“みんなでまちをつくる”ということを目指しています。もともと大工や工務店は、近隣の方たちのご協力がないと家が建てられない。だから工事中でも、近隣の人たちが入ってこられるような雰囲気を作りたくて。たとえば、工事現場で食べるお昼ごはんって美味しいんですよ。だからお昼だけでもお弁当を持って一緒に食べてもらってもいい。最終的には近隣の人たちと一緒につくったり、直したりするアパートができたらいいな、と」(西山)
「この地域には2つの大きなお社があります。東海道の宿場町でも栄えたエリアなんですが、かなり開発が進んで、昔の文化や歴史がだんだん廃れつつある。marukanの職人たちは、湘南で家族を持って暮らしています。彼ら地元の職人たちが自分たちの子どもや孫に受け継いでいくようなまちにしたい。鵠ノ杜舎は、住人さんが地域の人たちと一緒に、地域の歴史を振り返りながらもう一度いい暮らしを紡ぎ出していく場所にしていきたいんです」(下山)
大きな樹の下で
いよいよもち米が蒸し上がり、餅つきスタート。若い大工さんたちの元気な掛け声が響きます。
子どもたちも一回り小さい杵で、うんしょうんしょとお餅つき。
つきあがったお餅はふかふか熱いうちに、磯辺焼きやきなこ餅、お汁粉に。
つきたてのお餅って、なんでこんなに幸せな味なんでしょう。
ごちそうさまでした。
それぞれ個性的なしめ縄も出来上がったみたい。
家族で力を合わせて作ったしめ縄、いい新年を迎えられそうです。
そんな一部始終を、鵠ノ杜舎の敷地のすぐ横にある丘の上から、大きな樹が見下ろしていました。
きっとずっとずっと昔から、このあたりの人々の暮らしを見守ってきた木です。
1)鵠ノ杜舎から眺められる大きな樹。 2)大きな樹から見下ろした鵠ノ杜舎の敷地
この木が喜んでくれるような家や暮らしが、ここで生まれるといいな。いや、きっと生まれるだろうな。年末の冷たい空気の中、顔を真赤にして餅つきやしめ縄づくりに奮闘する子どもたちの笑顔を見ていて、そんな実感が湧いてきました。
このブログではこれから、鵠ノ杜舎の家が建つまでの様子やこの地域の物語をお伝えしていきます。よかったらぜひ、見守って下さい。